きりしま月の舟

100%の信頼、200%の感謝

2021.05.07更新


 GWが終わりました。昨年のGWは、きりしま月の舟も完全休業でしたけれど、今年はフルでオープンして、4月29日から5月5日までめいっぱい営業しました。

 とことん仕事ができるしあわせ。昨年は、ユタカ君とふたり、快晴の霧島路をゆっくりと散歩できるしあわせを満喫しましたが、それでも「わたしに仕事をさせて、神さま」といつも祈っていました。

 今年は、フルで仕事ができて、本当に嬉しかった。大きなイベントがふたつ。身体哲学ダンス、高橋和巳没後50年記念シンポジウム。どちらもめちゃめちゃ楽しかった。参加者の皆様も、講師の先生方もめいっぱい楽しんでくださいました。月の舟らしいイベントができて、とても感動です。こんなに気の高い空間はない、とも言っていただきました。ありがたいです。

 そして、連日のランチ、大盛況。とっても好評でしたよ。塩豚のフルーツロースト、アボガドおろし、春大根の煮込み、鯛のバター焼き。ユタカ君のスイーツも大好評。ふたりでフル回転でした。毎日、素敵なお客様に恵まれて、嬉しかったなあ。

 特に、高校時代の同級生が、再婚同士でカップルになって、ランチに来てくれたのは、本当に嬉しかった。懐かしかった。Kさんとは、高校時代、軟式テニスのダブルスを組んだ仲。

 そのころ、わたしの通う甲南高校は、ライバル校の鶴丸高校と、毎年、甲鶴戦というのをやっていて、そのひとつの種目が軟式テニス。中学から軟式テニスをやっていたわたしは、部活がしたくて、高校時代も軟式テニス部に所属していたのですが、あろうことか、鹿児島県で中学チャンピオンのKさんとダブルスを組むことになったのです。

 Kさんは、かわいくって、運動もお勉強もできて、性格もいい、という素晴らしい女性。田舎から鹿児島市内の高校に通ったわたしは、こんな人がいるんだ、と思った憧れの同級生のひとりでした。甲鶴戦では負けましたけどね。Kさんはいつも優しかったなあ。

 そのKさんが、「なんか生き生きしてるね」と言ってくれて、ほくほく。嬉しいお言葉。夫さんのH君も「若いね」と言ってくれました。H君とKさんのカップルも、とってもしあわせそうで、よかった、よかった。

 わたしが通った高校は、超進学校で、九州大学に何人合格させるかを競うような学校でしたけど、還暦同窓会を経てから、高校時代はほとんど会話しなかった同級生と親しくお話できるしあわせが待っていました。嬉しいですね。同級生っていいなあ、とつくづく思います。

 わたしは、20歳くらいまで、なんだかおどおどしている女の子でした。ぼけっとしてる感じだったと思います。いま思えば、多分、耳が聞こえていなかったんじゃないかな。難聴気味だとわかったのが、社会人になってからですからね。それまでは、いつも雲のなかで生きてる感じだったな。

 お勉強も大好きだったし、運動も嫌いじゃなかったし、ピアノも続けて、かわいかったし、性格が素直だったけど、完全な自信というのはなかったですね。読書という、耳が聞こえなくてもできる営みがあったから、特に支障はなく生きてこれたのかもしれません。

 結婚して、ユタカ君がどんなわたしも受け入れてくれて、「きみこは最高」と言ってくれるようになってから、自分に自信ができた気がします。それと補聴器をつけるようになってから、とんちんかんな受け答えをしなくなって、わたしの頭の良さ、回転の速さが発揮できるようになりました(笑)。

 どうもわが家系は、聴覚が弱いみたいです。みんな耳が遠いけど、気力で周囲を圧倒している感じ(笑)。俺の耳が聞こえないのは、おまえが悪いからだ、くらいな勢いで、父も生きていましたね。

 不幸というのは、足の裏にささったピンみたいなものだ、それを取り除けば、幸福になる。そんなことを言ったのは、フランスの哲学者、アランだったと思います。それこそ、高校時代にアランの「幸福論」を読んで、感動した覚えがあります。

 わたしにとっての不幸は、難聴ということだったみたいですが、それに長い間、気がつかなかった。難聴だとわかり、補聴器をつけるようになって、不幸のピンが取れたのでしょう。

 それだけではなくて、「わたしたちは完全である」という考えを持つようになってから、どんなマイナスな部分、未熟な部分も受け入れられるようになりました。難聴というようなマイナスは、とくにどうってことない、くらいに強くなりました。

 たぶん、自分を完全に受け入れることができるようになったのは、60歳を過ぎてから。あまりにも遅い自立ですが、今、心からしあわせを感じています。それも、読書を通じて、その考えに到達したわけですから、耳が聞こえなかった分、読書に集中できて、いっぱい勉強ができて、マイナスがプラスになった、というわけです。

 わたしは完全です。そして、わたしはわたし自身を深く信頼しています。何よりも、わたしは他人に対して、意地悪をしたことがない。心から深く夫や娘たちや孫たちを愛している。教え子たちをひとりも取りこぼすまい、と強く願い、尽力している。

 文学講座の準備をとことんやっている。世の中に対してできることをめいっぱいやっている。自分に対しても優しい。いたわってあげてる。自分を許している。

 信頼とは、作家の本田健さんによれば、ゼロか100なのだそうです。95%、自分を信頼している、ということは、つまり全く自分を信頼していない、ゼロである、ということだそうです。

 なるほど。わたしは完全であり、100%、自分を信頼している。そこがすべての出発点なのですね。ますます、自分に自信が湧いてくる気がします。

 その論理を応用すれば、感謝、というのも、ほんの少し、感謝している、ではダメじゃないかな。200%、感謝する。100%じゃ足りない。200%。

 どんな毒親でも、自分を産んで育ててくれたことに、200%、感謝する。たぶん、わたしの母は、わたしが難聴である、ということに全く気がつかなかったと思うし、もしそのことを知ったら、どれだけわたしを不完全な人間として扱っただろうか、と思うと、そのことに気づかなかった母に200%感謝です(笑)。

 何しろ、うちの母は、わたしの身長が低い、とか、白髪が多い、とか、そういうことをことさら嘆いて、わたしの不完全さを煽った人ですからね。でも、母はいつも美味しい物を食べさせてくれて、そのおかげで、いまランチを提供できるセンスが磨かれているわけで、また食事にとことん気を配ってくれたおかげで、こんなに健康な身体に恵まれて、やはり母には200%感謝です。

 そして、わたしがいつも思うのは、行動すること。これはもう、300%行動しなきゃいけない。嘆いたり、悩んだりする暇があったら、行動する。

 このことが、どれだけわたしを活性化してくれたでしょうか。勉強する、旅をする。とことん本を読む。いろんな人に会う。いろんな場所を訪ねる。行動こそが、わたしを育て、自信を育み、愛を知らしめてくれた。

 これから隣の土地を買い、駐車場を作り、果樹園を作り、作業小屋を建て、学習棟を建てる。その行動は、わたしの血肉となり、「ほんとうのわたし」を形勢していきます。

 やはり、わたしは「教える」ことが大好き。そのことなしには、人生が成立しないくらいに。だから、学習棟を建てることは、大きなゴールであり、大きな出発点でもあります。

 60歳を過ぎての人生が、こんなに楽しみとは、全く予測もしませんでした。わたしの人生は、どんどん美しくなっていきます。ありがたいことです。ユタカ君との愛も、さらに深まっています。

 今日は、GWを頑張ったご褒美に、お休みをとって、紫尾神社まで行きました。どこに行こうか、どんな風にお休みの日を過ごそうか、ユタカ君とふたり、いろいろ考えました。高級ホテルに泊まる。西都原古墳を訪ねる。映画を観る。いろんな案が出たなかで、紫尾神社に決定。

 というのも、鹿児島県立短大での講義で、梨木香歩さんの小説「海うそ」を取り上げるのですが、その舞台である紫尾山神興寺跡をまだ訪ねていないことに気がついて、急遽、紫尾山方面に、休みのドライブコースを決定しました。

 神興寺跡、紫尾神社、紫尾温泉、どれもこれも素晴らしかった。これで、奥の深い授業ができます。よかった、よかった。

 わたしたちのドライブを応援するかのように、大快晴で、とっても気持ちがよかった。紫尾温泉で一服。紫尾温泉は、最高だな。まるで化粧水のお風呂に入っている感じ。鹿児島一の温泉ですわ。町営のお風呂は、なんと200円。区民は100円ですよ。凄い。

 その後、阿久根へ。ウニ丼祭りに行こう、ということで、出かけました。ところが、電話予約をしようとしても、なかなかつながらず、とにかく行ってみよう、と寄った「漁師のドライブイン潮騒」は、午後2時ですでに営業終了。予約でいっぱいでした。だから、電話も出なかったみたい。

 それで、長島まで足を伸ばして、ウニ丼じゃなかったけど、島アジ定食と海鮮丼をいただきました。なかなか美味しかった。

 遅い昼食のあと、長島のお友達である馬場さんのお宅に寄って、しばし歓談。楽しいのなんの。馬場さんが丹精しているお庭で、奥様が淹れてくださったコーヒーを飲みながら、しあわせなひととき。採れたての長島名物じゃがいもをいっぱいいただき、帰路につきました。

 帰りは、南九州自動車道をわたしの運転で一気に霧島まで、と思っていたのですが、途中で、「そうだ、串木野で降りよう」ということで、わたしの生まれ故郷の串木野で降りて、「まぐろラーメン」を食べる予定でした。

 ところが、「あ、そうだ、大助寿司があるね」ということで、急遽、とっても美味しいお寿司屋さんの大助寿司に寄りました。お昼もお魚尽くしでしたけど、お寿司の大好きなわたしは全く躊躇なく、大助寿司へ直行(笑)

 行きの運転をずっとしてくれたユタカ君にビールをおごって、わたしは特上寿司。うふふ。帰りの運転はまかせて。

 いつも霧島の山のなかにいるので、海を見ると、心が落ち着きます。海が大好き。お肉よりもお魚、お寿司が大好き。大助寿司は、いつものように美味しく、美しかった。

 どこを切り取っても、最高のわたしの人生。わたしは完全です。わたしは100%、自分を信頼しています。200%、世の中に感謝しています。300%行動します。

 さ、オフの一日を優雅に過ごせて、ありがたい限り。今日までお休みですので、ランチの仕込み、掃除、授業準備、コンサートのシナリオ作り、いっぱい仕事が待っています。感謝ですね。

 では、皆様も素敵な一日をお過ごしくださいね。