きりしま月の舟

愛のあることに時間をかけなさい

2021.11.15更新


 この一週間、紅葉の真っ盛りの霧島は、賑やかでした。

 おかげさまで、きりしま月の舟も大繁盛。源氏物語、万葉集の講座の受講生の方々、月の舟塾に来る子どもたち、ランチのお客様もいっぱいで、とっても賑やかでした。

 11月13日(土)は、有川真由美さんのトークショー。有川さんの本のなかで、わたしが一番大好きな「質素であることは、自由であること」について語り合う時間。

 いつものように、わたしが司会・進行役で、有川真由美さんの話を引き出します。元ウルグアイ大統領夫人で、現在も国会議員として活躍するルシア・トポランスキーさんのお話。実際に、有川さんがウルグアイまで出かけて、ルシアさんに取材したことなので、臨場感満載。

 終始和やかで、素敵なトークショーを開催できました。有川真由美さんの友人で、料理研究家の門倉多仁亜さんも参加してくださって、豪華なトークショーとなりました。多仁亜さんと有川さんは、内閣府の審議会の委員としてご一緒されたそうで、そのときに話が尽きないほど仲良くなったそうです。

 多仁亜さんは、現在、鹿児島県鹿屋市にお住まいで、霧島の我が家からも車で40分ほど。有川さんも国分市在住なので、月の舟をちょうど真ん中にして、おふたりともお住まいです。

 ドクターの松下先生、藤元先生もご参加くださり、参加者の皆様も教養が高くて、本当に大切なことを、皆でシェアすることができました。

 ルシアさんのあるがままの美しさ、教養、視野の広さがビンビンと伝わります。本のタイトルは出版社の社長さんがつけたとのことで、「質素」という言葉は、「シンプル」とルビを振ったらいいんじゃないか、という会場の意見もあったりで、よりルシアさん的な生き方の本質に迫れた気がします。

 この本は、章立てが優れていて、目次を見ているだけで、何だか癒されます。

第1章 生きる意味をみつけなさい

第2章  ものごとは明るく輝く面だけじゃなく、暗い側面も見なきゃいけない

第3章 譲ることを覚えなさい

第4章 愛のあることに時間をかけなさい

第5章 自分がもっているものを知り、それを大切にしなさい

第6章 生きたいように、生きなさい。そして、この世界に何かを置いていきなさい

 どの言葉も深く刺さってくるものですが、わたし的には、第4章の「愛のあることに時間をかけなさい」という言葉が印象に残りました。

 これならできるし、すでにできているという自負があります。何しろ、嫌いなことを一ミリもやらないきみちゃんですからね。

 特に、孫の世話は、一番愛あることかなあ。月の舟のランチを作ることも愛の時間だし、源氏物語、女神塾も愛そのもの。

 昨日14日は、女神塾を開催しました。鹿児島県立短大の教え子である綾乃ちゃん、そのお友達ふたり、なんと第一回目の女神塾に参加してくださった尚子さんとそのお母さまが綾乃ちゃんのお店に行って、月の舟の話で盛り上がった、とのご縁で、我が家のリビングに5人が集まりました。午前10時から11時半まで、たっぷりお話しました。

 充実した、愛ある時間でした。大切なことを分かち合い、それぞれの課題に向き合うことができた、と思います。

 ひとりで悶々としていると、見えない大切なことが、みんなでシェアすると、世界地図を広げるように、自分の立ち位置がわかったりするものです。

 わたしにも大きな気づきがありました。母親は無条件の愛を子どもに捧げるだけで、子どもから、子ども自身の意志を奪ってはいけない。わたしがこれだけ愛しているんだから、あなたも愛して、という感じで、見返りを求める愛は、相手を苦しめます。

 これだけお金を払っているのだから、あなたもちゃんとその分働いてね、という資本主義的な考えで、家族を営んではいけないなあ。家族こそが、無条件に人を愛し、許し、受け入れるものでなくてはいけないなあ。

 そして、無条件の愛とは、相手をリスペクトし、距離をとることでもあるなあ。あなたのためにと、びたっとくっついて、お世話を焼くのは、せいぜい20歳まで。あとは仲良し親子をしちゃいけない。

 60歳を過ぎると、老後の不安もあって、子どもに依存したくなるものですが、そこをぐっとこらえて、自分を生ききる。もちろん、人を頼ったり、迷惑をかけたっていいんですけど、老後の孤独をしっかりと受け入れることを覚悟しなきゃいけないなあ。

 若い人たちがのびのびと個性や能力を発揮して生きていける社会になりますように、わたしも心から応援します。

 そのためにも、ユタカ君と力を合わせて、まだまだ元気に働きますよ。月の舟ホールの構想が見えてきました。2025年3月20日オープンを目指して、がんばります。

 いまの「きりしま月の舟」はカフェとして、月の舟ホールでは、自宅リビングで開催している女神塾や文学講座を50人規模にして、またグランドピアノも置いて、コンサートをやったり、個展なんかもいっぱいやりたいなあ。

 夏目漱石のの小説に出てくる書生さんみたいな人に、お掃除とか管理とかをやってもらって、などと構想が膨らみます。

 そのための資金は、やはりゴールドカード。年間3万円のゴールドカードで自由に講座やイベントに参加でき、オンライン講座も受講できるシステムは、なかなかいいなあ、と自負しています。

 つまり年間の授業料が3万円の月の舟自由大学。今は、わたしとユタカ君の講座に限らせていただいていますが、たくさんの先生方の講座やイベントを開講して、どの講座もゴールドカードで受講できるようにしたいものです。

 おかげさまで、ゴールドカードの会員さんがめきめき増えてきまして、寄付のかたちで会員さんになってくださる方もおいでです。ありがたくて、ありがたくて、心が温かくなります。愛あるお金の使い方ですよね。

 やはり、自分への投資はとても大事です。勉強というのは最大の投資ですからね。3万円なら何とか「えいっ」と払える金額です。それが100人になり、千人になり、一万人になれば、3億円のお金が一年間にできますからね。

 今の大学みたいに、高額な授業料を払うのではなく、また入学試験があるのでもなく、誰でも入学できて、日本一安い授業料の月の舟自由大学。

 ぜひ、皆様もゴールドカードのお申し込みをお待ちしております。ご希望の方は、月の舟までお問合せくださいね。近いうちに、ネットからのお申込みができるように環境整備を整えますね。

 さ、これから、母のところへ。11月8日に入院先の病院から、その関連施設に入らせていただきました。施設に移るときに、兄夫婦、弟夫婦、わたしたち夫婦で見守りをして、ガラス越しに電話で話をしました。

 家に帰る練習をする、という施設長さんのお言葉に力を得て、「わたしも家に帰る」と言う母を見送りました。これまではオンライン面会だけでしたけど、少しでも近くで話せるようになって、ありがたいことです。コロナ禍でなければ、髪をとかしてあげたり、手をさすってあげたりしたいのですが、それもかないません。

 今日は、何度でも洗える服を持参しようと思います。わたしのファッションに批判ばかりをしていた、おしゃれな母が気に入ってくれるといいのですが。弟嫁さんが、細やかに届け物をしてくれて、ありがたい限り。

 どんなことにも、どんなときにも、愛と感謝に満ちた気持ちでいること。92歳の母へも、いまは感謝だけが溢れています。どれだけたくさんの愛を注いでくれたか。

 遠慮、謙虚、地味、という価値観が、母の人生をコントロールしていて、ド派手で、自由で、遠慮のないわたしをたしなめる言葉ばかりを聴いていた気がしますけど、本当はとっても応援してくれていたなあ、と思います。

 さ、わたしもまだまだ働きますよ。愛のあることに時間をかけていきます。自分のために、娘たちや孫たちのために、受講生の皆さまのために、若者たちのために、霧島のために、鹿児島のために、地球のために。  

 皆さまも、愛のある時間をお過ごしください。