中谷彩一郎先生
2023.03.26更新
月の舟通信でベルギーからのたよりをいただいていました、慶応大学教授・中谷彩一郎先生の客死がつたえられました。鹿児島県立短大にご赴任の時代に古代ギリシア・ローマ文学の講座のほか、先生のお好きな作家・作品からいくつかご紹介いただき、月の舟自由大学で講義して頂いたことが昨日のことの様に思いだされます。思えばイギリス留学時代に心が疲れた時に読んだ作品としてマンガ「ガラスの仮面」のお話がでて、三嶽豊と意気投合したことをきっかけに「ガラスの仮面シンポジウム」に発展し、読んだことないけど演劇の話ならとシェイクスピア研究の小林潤司鹿児島国際大学教授も参加、もちろん当時志學館大学にいらした演劇評論の嶋田直哉明治大学教授にもご参加いただき賑やかな、月の舟らしいシンポジウムができたことが懐かしく思いだされます。慶応大学に転出されてからも何度か月の舟で講義を頂き、慶応大学出版局から出された「ダフニスとクロエー」はそのときの講義を元にまとめたとおっしゃていただいたときは、月の舟をやっていてよかったと思った瞬間でした。ベルギーでの一年間の派遣研修は先生にとって大変楽しそうで、ベルギー便りも快く引き受けて下さり、忙しいなか原稿の早さ、さらにじつは四回目の原稿まで先送りで頂いていましたし、あと3回分もだいたいできているのでロンドンから帰ったら送りますとのメールを頂いたところでの訃報でした。誰もがそうであったように、とても信じられない突然の、ありえない訃報でした。皆様にお知らせするとともに中谷先生のご冥福をお祈りいたします。月の舟通信4月号には先生の第4回のベルギー便りを載せさせていただきます。 (三嶽豊