きりしま月の舟

愛をぶっこわせ・その4

2023.01.26更新


 今日は大雪。今年一番の寒波との予報通り、昨日から雪が降り始め、霧島の我が家では、今朝起きたら、庭が一面真っ白。

 テラスには、動物の足跡があって、あれは鹿なのかな?まっすぐ歩いた痕跡が。我が家の庭は、動物たちのパラダイスみたいで、真夜中に何かしら訪れている気配がありますが、まだその実態を見たことはありません。今のところ、特に被害はないので、共存できてるかな?

 さて、今日で、いろんなことが一区切り。13年間続いた「月の舟ひまわりクラス」は、今日で最終講義。古事記から「おくのほそ道」までを読み切りました。

 「おくのほそ道」の最後の俳句「蛤のふたみに別れ行く秋ぞ」と、「初しぐれ猿も小蓑をほしげなり」「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」を解説して、最終講義を締めくくりました。

 長年、委員長をしてくださいました馬場英俊さんは川柳をやっておいでですので、今日は特別講義「川柳と俳句」をしていただきました。さすがの馬場さん、とてもお上手なトークで、川柳と俳句の違いがよくわかりました。

 続いて、大学時代に卒業論文に芭蕉を選ばれた上村郁子さんのトーク、そして修了証の授与をユタカ君がして、おひとりおひとりのお言葉を頂きました。

 「とっても楽しかった、だから、この講座がなくなるのが寂しい」「きみこ先生の鹿児島弁が素晴らしかった」「きみこ先生に勉強の仕方を教えていただいた」「これから水曜日、何をしたらいいんでしょ」「本はかなり処分しましたけど、きみこ先生の講座の本はそのまま取ってあります」、そんなお声をいただきました。

 わたしも胸がいっぱい。でも、皆様との絆はそうそう切れはしません。だって、わたしは受講生の皆様のことが大好きなのですから。これから死ぬまでご縁が続きますよ。

 本当なら、2020年に「きりしま月の舟」をオープンしたときに、終わりにしてもよかったのですが、わたしも受講生の皆様も別れがたくて、あれからまた3年続けたのでした。

 古事記、万葉集、古今和歌集、枕草子、蜻蛉日記、土佐日記、和泉式部日記、紫式部日記、うつほ物語、源氏物語、更級日記、そこから飛んで芭蕉の紀行文「野ざらし紀行」「更科紀行」「笈の小文」「おくのほそ道」、他の講座で、平家物語、百人一首もやりました。

 すごいなあ。日本一の古典文学講座ではなかろうか、と自画自賛しております。今昔物語、徒然草、方丈記、新古今和歌集のあたりを飛ばしましたけど、ひとりで、奈良時代から江戸時代までを教えた実績って、さすがきみちゃんだわ。

 いやあ、楽しかったなあ。今日も、最古参の田ノ浦さんが「うつほ物語」が幻想的で、とっても好き、とおっしゃってくださいましたが、さすが、田ノ浦さん。わたし自身も「うつほ物語」を読めたのは、本当に嬉しかった。うつほ物語を読めたから、源氏物語も読めた、と言っても過言ではありません。

 何よりも、受講生の皆様に背中を押していただき、わたしもいっぱい勉強させていただきました。それを皆様とシェアする歓び。愛が循環するように、学びが循環していきました。

 委員長の馬場さんともお話しましたけれど、「一度も嫌なことがなかったですね」と。そうなんです。素敵な思い出、学びを楽しんだことばかりで、嫌な思い出がひとつもない。

 わが月の舟の講座はいつだって楽しく、充実していて、受講生の皆様の勤勉さ、ユタカ君の事務能力の的確さ、きみちゃんのユーモアで、いつも充実しています。最高です。

 これからは、受講生の皆様で、学びを循環させて、勉強会や読書会、茶話会などをしながら、お互いに学びあう習慣を身に着けていただきたいなあ、と思います。

 さらに、昨日は、鹿児島県立短大の「鹿児島学」の最終講義でしたので、小テストプリントにコメントを書き入れて、採点したもの130人分を持参して、学生さんたちに手渡しました。

 講義そのものは、鹿児島学を担当して、わたしたち非常勤講師のお世話もしてくださった岡田登先生の最終講義でしたが、講義前に小テストを学生さんたちに配布するついでに、わたしも拝聴させていただきました。

 鹿児島学にふさわしい、各地の道の駅の取り組み、農業の商品化、都市の農村化などの課題をクリアにしてくださって、大変勉強になりました。

 講義のあと、ユタカ君も合流して、岡田先生と3人でランチの時間を過ごすことができました。わたしが「鹿児島学」の講義を思い切りやれたのも、岡田先生のおかげだなあ、と思います。早くからカリキュラムを決定してくださっていたので、こちらも準備が早くにできて、ガイダンスも設定してくださったので、大きな視野で学生さんたちにメッセージを伝えることができました。

 さらに、130人分の小テスト&レポートにコメントを書く作業で、学生さんたちの魂と交流ができたと思います。わたしの講義をよく聴いてくれました。とても素直な感想が多くて、感動しきり。

 講義前に、テストプリントを返却するとき、男子学生が「お、すばらしい、って書いてある」と言ってくれたので、「ほんと、みんな、素晴らしいよ」と言ったら、男子学生さんふたりが「先生も、かっこいいっす」と言ってくれました(笑)。特に、わたしの髪の色がいいんだそうです。嬉しいなあ。若い子に褒められるって、素敵だね。ありがとう。これで寿命が10年くらい伸びたよ。

 130人×4回=520枚の小テスト用紙にコメントを入れるのは時間的には大変でしたけど、ひとりひとりと対話しながら、コメントが書けて、全部終わったときには、静かな感動で、わたし自身が満たされました。

 とても良い経験でした。若いって、素晴らしいなあ。学ぶって、大事だなあ。そんなことを思います。

 そしてなんと、学生さんの中に、見覚えのある名前があるなあ、と思っていたら、わたしの娘たちのベビーシッターをしていた方の娘さんであることが判明。

 わたしが娘3人の子育て中、6歳、5歳、3歳の子どもたちを育てながら、勉強を続けていたとき、勉強時間が欲しくて、ベビーシッターさんを募集したら、来てくださったのが鹿児島大学の学生のいづみさん。

 とても頭の良い女性で、すぐに子どもたちとも打ち解け、わたしが2階の書斎で勉強しているときに、下の部屋で子どもたちと遊んでもらう、という役目でした。

 午前中は、わたしが子どもたちを公園に連れて行って、お昼ごはんに帰ってくる頃に、いづみさんに来ていただいて、一緒にお昼ご飯を食べてから、わたしは書斎へ、子どもたちはいづみさんと遊ぶ、という時間を過ごしました。

 おかげさまで、わたしも勉強に集中できて、子どもたちも若いお姉さんと遊べて、どちらにとっても良かった。わたしが2階にいるとわかっているから、子どもたちも安心して遊びます。

 その後、いづみさんの就職で、その時間は終了となり、長女が小学生、次女と三女が保育園へ行くようになりました。ちょうどお友達のほしい時期になりましたので、スムースに子育てができたなあ、と感慨深いです。その後も、いづみさんとのご縁は続き、動物園に連れて行っていただいたり、結婚式に娘たちが花束を渡したり、と良い交流が続いています。

 そして、まさかのいづみさんのお嬢さんを、わたしが教えるとは!時の流れは速いね。

 これからリモートワークが増えていくでしょうから、このベビーシッター型の子育ては、おススメです。母親が近くにいると、子どもも安心しますからね。

 やはり、子育てって、素晴らしいなあ、と思います。全力で人を愛する。そのことを教えてもらうのです。

 無条件で人を愛する。お勉強ができる、とか、運動ができる、とか、他人より優れているから、愛してあげる、ではなくて、とにかく、産まれてきてくれて、ありがとう。あなたに会えて、嬉しいよ。そんな気持ちで子育てができることは、なんと素晴らしいことでしょうか。

 わたしの子育ては、すべて「イエス」でした。一度だけ「ノー」を言いましたけど、それに対する後悔はないですね。

 未熟な母親であったし、すぐに切れるし、仕事に夢中で、子どもから目が離れたときもあったなあ、と遠い目をするきみちゃんですが、とても良い感じで、娘たちとの関係が持続していると思います。

 やはり、お互いを「ひとりの人間として尊重する」という態度が、とても大事だと思うのです。親子であっても、他人である。その境界線をきちっと引くこと。

 学生さんたちへのメッセージを、昨日は一言話す機会をいただきましたので、そのときに話したこと。

「愛する人を振り切ってでも、最高の自分を表現しなさい。家族や友人のあいだのぬるま湯に浸かったままでいないこと。家族や友人と距離を置いてはじめて、孤独を知ってはじめて、周りとの人間関係が深くなります」

 100人以上の学生さんたちが、一瞬、凍り付いた感じがありましたが、このことは、最近、わたしが肝に銘じていることでもあるのです。

 愛する人を振り切ってでも、最高の自分を表現する。ユタカ君にこのことを話すと、大賛成だね、と言ってくれます。夫の理解だの、親の許しだの、介護があるから、とか、そんなことを理由に、自分を表現できない、自分の仕事ができない、というのは、どうも違う、と思うからです。

 わたしはわたしを200%生きる。そうして初めて、ユタカ君との関係も、娘たち、孫たちとの関係も深くなり、年老いた母もゆったりと生きることができる、と思うのです。

 要するに、自分の人生がうまくいかないことを、他人のせいにしない。自分の人生がうまくいくように、自分を褒め、自分を大切に扱うこと。できることを精いっぱいやること。

 昨夜は、「愛をぶっこわせ」イベントの出演者の皆様とズーム会議でした。まあ、ほんとにみんなよく働いて、よく練習もして、精進している若者たちで、本当に頼もしい。

 ZOOM会議も楽しく、大切なことが次々と決まり、さすがプロの皆様、自分の得意分野、そうでないところをしっかりと把握しておられるので、スムースに事が進みます。この調子なら、かなり細かいことができて、丁寧な仕上がりになるなあ、と手ごたえを感じました。

 3月19日(日)午後2時~4時「愛をぶっこわせ」イベント、ぜひご参加くださいませ。オンラインからもチケット購入ができます。出演者の皆様からもチケット購入ができます。十字屋、山形屋プレイガイドにもチケットが置いてあります。

 「愛をぶっこわせ」。愛する人を振り切ってでも、自分を表現できますか?まず、自分を生きていますか?最高の自分を表現できていますか?愛する人のため、と言って、他人を見張っていませんか?相手を自分の理想の道具にして、コントロールしていませんか?自分をないがしろにしていませんか?

 男女の恋愛でも、男性を追いかける女性よりも、自立して、自分を生きる女性の方がモテるでしょ。自分を磨いて、磨いて、磨き上げる。その輝きに、人は惚れてくださるのです。

 わたしは、全力で、自分を表現します。そのことで、人を全力で愛することができる、と信じています。

 さ、明日から、京都、東京へお孫ちゃんラブツアー。孫たちに会いに行きます。そして「愛をぶっこわせ」イベントに出演してくださるゲイ・ローリーさんと東京で打ち合わせ。娘たちも、わたしたち夫婦のために、いろいろと段取りしてくれています。ありがたいなあ。

 自分を生きる。そのことが良好な人間関係を創ります。

 ここのところ、大きな仕事をやりきった達成感でいっぱい。そして、明日から、気分を変えて、旅に出ることの歓び。ユタカ君という人生の相棒がいる幸せ。文学という生涯の仕事がある幸せ。娘たち、孫たちを全力で愛する幸せ。尊敬する友人がいる豊かさ。

 さ、輝きますよ。稼ぎますよ。贅沢しますよ。きみこ、がんばれ。

 ということで、明日から旅に出ますので、きりしま月の舟、1月31日までお休みです。2月1日(水)からまた元気に営業しますので、お楽しみに。

 2月5日(日)は、「きみこ源氏ひとり語り」で「紫の上」を語ります。いやあ、素晴らしい女性ですよ。悩みを祈りに替える、という凄いお方です。源氏物語の大きな柱ですからね。ぜひリアルでも、ZOOMでも、アーカイブでもご視聴くださいませ。2月19日も「紫の上」後編です。

 きりしま月の舟のHP「オンライン講座のご案内」から入って、ゴールドカードのお手続きをされてください。簡単にできますよ。わからないときは、お電話でもメールでもお気軽にお問合せくださいませ。

 さ、明日も寒いでしょうが、元気に生きていきましょう。いつもブログを読んでいただき、ありがとうございます。どんどん元気を発信していきますね。お楽しみに。