きりしま月の舟

他人の荷物を持たない

2022.05.23更新


 いま、霧島の野原をドクダミの花が埋め尽くしています。この花芯を摘んで焼酎漬けにして、蚊に刺されたときの応急処置の薬にしたり、皮膚炎の薬にもなるようですね。

 アトピー性皮膚炎のひどかった娘たちに、一度作ってみましたが、焼酎がひっかき傷に沁みて、痛がるので、ドクダミ薬は一回で断念した思い出があります。

 霧島に住んでいると、2週間サイクルで、植物の旬に出会います。先週でクレソンが終わり、桑の実が出て、タケノコが孟宗竹から小参竹になり、今は唐竹がいっぱい。大名竹をまだゲットしてないな。

 今年は唐竹をたくさんいただいて、柔らかい先っちょの方を木の芽和えにして、ランチにお出ししたら、たくさんの方が「これは何ですか」と聞かれて、美味しいと言ってくださいました。

 唐竹の固い方は、ユタカ君がシナチクにしてくれて、これまたランチで大好評。タケノコは掘ったらすぐに茹でる、が鉄則なので、ユタカ君が大鍋でしかも薪で茹でてくれるので、いつも美味しいタケノコが食べられます。ありがとう、ユタカ君。そして、タケノコを分けてくださいましたKさん、ご近所のHさん、いつも本当にありがとうございます。

 霧島で、理想の生活ができています。心から感謝です。ありがたいなあ。しあわせだなあ。嬉しいなあ。

 さて、昨日は、とっても良いお天気の日曜日。朝早く、孫のれなちゃんから「ひしゃしぶり(久しぶり)」というメッセージが来て、「お、ひしゃしぶりだね。たのしい日曜日をすごしてね。れなちゃんのこと、だいすきだよ、あいしてるよ」と返事をしたきみちゃん(笑)。

 孫のお世話が大好きなきみちゃん。ああ、リアルでお世話したいよお。朝ごはんを作ったり、ピアノのおけいこにつきあったりしたいなあ。

 娘たちを育てるときは、仕事が忙しすぎて、ほんとに、毎日が慌ただしくて、ろくに子育てをしていないのだけど、60歳を過ぎて、こうして霧島に住むようになってから、余裕が出てきました。

 30代、40代は朝が苦手で、早起きが課題でした。何しろ、夜遅くまで勉強したり、仕事したりしていましたから、朝起きるのがつらかった。娘たちの朝ごはん、お弁当もきちんとしたものを作ってあげられなかったですね。

 いま、孫たちのところに行くと、朝ごはんを作ったり、お弁当を作ったりするのが、めちゃめちゃ楽しみで、「おばあちゃん、明日の朝ごはん、なあに?」と聞いてくれたりします。おむすび、お味噌汁、卵、サンドイッチ、フルーツ、まあ、ありとあらゆるものを作って、孫たちがもりもり食べて、「行ってきまーす」と元気よく出かけてくれる朝は、本当に幸せが満載です。

 いま、カフェのランチの仕込みをするのも、とっても楽しいですね。カフェをやってよかったなあ、と思うのは、まずたくさんいただく食べ物がそのままランチになって、たくさんの方に届くこと。わたしたち夫婦だけでは食べきれませんからね。

 そして、とても素敵なお客様に出会うのも、とっても嬉しく、楽しみです。いつも会話が弾み、楽しいのなんの。さらに、きみちゃんのお料理のレパートリーがめちゃめちゃ増えて、わたしたち夫婦自身が潤っています。

 前回のブログで、きみちゃんの人生の地殻変動が起きている、と書きましたが、あれからずっと地殻変動続きで、今後の30年がめっちゃ楽しみです。

 まず先週の水曜日。午前10時に鹿児島市内で開催中の田中聡さんの個展「オンセンサンの世界」へ行きました。シャープペンシルで描いた鹿児島の温泉の絵。ほほお、描く角度がいいなあ。この角度から見たら、この温泉は、〇に十の字の島津家のマークが模られているわけね、という発見があったりします。

 田中さんは、月の舟@天文館時代に、小説や詩を書く方々の勉強会や合評会をしていたときのメンバーで、いま、小説も書かれ、文学賞の最終選考に上がったりされます。女性名で出しておられるので、人に「あれはね、田中さんの作品だよ」と聞いて、びっくりしたことがありました。

 月の舟という空間があったから出会えた方々。田中さんもそのひとり。南日本文学賞を受賞された永田さんも、その後田中さんと交流が続いておられるようで、またみんなで会おうね、と言って個展会場を後にしたのでした。

 田中さんには、霧島の温泉の絵も描いていただいて、そのうちに月の舟で個展をしたいと思っています。楽しみだなあ。

 そして、その個展会場でOさんと落ち合って、カフェ「アルカナ」でランチ。いやあ、ここでも凄い出会いがありました。

 カフェ「アルカナ」で占いをしている育代ちゃん。はじめてお会いしたのですが、何だか勢いで占っていただくことになりました。

 そしたら、まあ、わたしの人生、これからイケイケなんだそう。特に2023年は仕事運がものすごく盛り上がるようで、ピークは2026年とか。

 いやあ、テンション上がりまくりのきみちゃん。占いって、当たるとか当たらないとかじゃなくて、いやあ、こんなに素敵な言葉をシャワーのようにざぶざぶと降り注いでくださったら、それはもうテンションあがりますよね。育代ちゃん、ありがとう。

 さらにまた、そのカフェ「アルカナ」のオーナーさんとシェフの姉妹、そして育代ちゃんの3人が、「みたけきみこの鹿児島学」を金曜日に受講してくださいました。

 いやあ、できる人は行動が速いよね。水曜日に会って、金曜日にはもう霧島に来てくださるんですもの。ありがたい限り。月の舟ランチも召し上がってくださり、仕事の話もして、めちゃめちゃ大満足。

 凄い出会いですね。感謝、感謝、大感謝。繋いでくださったOさん、いつもありがとう。

 土曜日もまた、素敵な出会いがいっぱい。午前中は古事記講座第3回目でしたが、わたしとユタカ君が交代で講義している横で、コーヒーをご注文のお客様がおふたりお見えになって、静かにコーヒーを飲みながら、本を読んだり、本棚を眺めたりしておられます。

 講義が終わったあと、ランチも注文してくださって、ひとしきりお話をしたら、おひとりのオーストラリア人の方は、昨年夏、孫が来ているときに、月の舟を臨時休業にしていたのですが、そのときにいらしてくださったJさんでした。

 孫たちと長女夫婦とご近所のうなぎ屋さんに行っての帰り、外国人の方とすれ違ったのですが、ご近所のSさんが「月の舟は、今日、お休みですか?と外国人の方に聞かれましたよ」と教えてくださって、ああ、申し訳なかったなあ、と思っていたところでした。あきらめずにまた訪ねてくださって、本当に嬉しかったです。

 もうひとりのお連れの方は、性空上人ゆかりのお寺のお坊様でした。すっごいイケメンさん(笑)。ユタカ君が「罪ですね」というくらいイケメンさん。すぐ近くに、性空上人ゆかりのお寺があることも知らなかったので、本当にびっくり。

 お寺をお訪ねすることを約束して、また、いつか月の舟で性空上人のことについてご講義いただくことをお願いしたりして、いやあ、仏様のご配慮に感謝したことでした。

 そして、午後からは読書会「芥川龍之介マラソン」。課題図書は「杜子春」。いつものメンバーが続々集まってこられます。ご近所のAさんは、午前の古事記講義も受講され、いったん家に帰られて、また衣装替えをしてのご参加でした。

 午後2時が始まる前に、ランチのお客様も何人かありましたが、読書会が始まるとき、コーヒーのお客様がひとり残っておいででしたので、「読書会をしますから、ちょっとうるさいかもしれませんが」とお話したら、「楽しんで聞いています」と笑顔で答えてくださいました。

 読書会は、いつものように大盛り上がり。特に杜子春が地獄で苦しむ両親をみて、耐えきれずに「おかあさん」と叫ぶ描写について、いろいろと意見が出ました。

 「杜子春」は、中学の国語の教科書にも掲載されて、授業でも扱った作品ですが、芥川の作品を読み継いでいると、中学生の頃、感動した作品でも、大人になると、「あれ?」という感想が出てきます。そんなことがこの読書会でも話題になります。

 たとえば、「蜘蛛の糸」の場合、お釈迦様が糸を垂らして、罪人を助けようとしますが、たくさんの人が群がって、切れてしまう細い糸じゃなくて、もっと太い糸を垂らして、みんんなを救ったらよかったんじゃないの?というご意見が出てきたりします。

 今回も、仙人は、もっと早く結末のような家を杜子春に与えておけばよかったのに、どうして回り道をいっぱいさせたんだろうねえ。口を利かなかったら仙人になれる、と言っておきながら、「おかあさん」と杜子春が叫ばなかったら、おまえを殺した、という仙人って、矛盾してない?とか、本当に興味深いご意見を皆様、言ってくださいます。

 そんな中で、杜子春の母親が「わたしのことはいいから、お前の良いようにしなさい」と地獄の苦しみのなかで言うセリフは、心を病む若者の母親のセリフと重なることをわたしが指摘しました。

 自己犠牲の親に対する子どもの罪悪感というのは、根が深い。自分の幸せを他人のなかにしか見出せなくて、他人のなかに侵入していく親の在り方。

 まず自分が幸せになる。まず自分が幸せになって、みんなにその愛と感謝のエネルギーを放射していく。

 わたし自身がいつも心掛けていることでもあります。まず自分が愛と感謝で満たされる。そのうえで、ユタカ君を愛し、娘たち、孫たちを愛し、月の舟の受講生の皆様を愛し、新しいお客様を深く受け入れる。

 読書会の間中、パソコンを取り出して、お仕事している感じだったコーヒーの青年に、「にぎやかですみませんでした」とお声かけしたら、「いやあ、すっごく興味深かったです」と笑顔でまた答えてくださいました。

 まあ、それだったら、最初から読書会にお誘いしたらよかったなあ、と思って、読書会の席にご案内したら、いま、ご自分が抱えておられる課題と「杜子春」が重なって、とても興味深かったとのこと。

 お父様が読書家で、月の舟みたいに壁じゅう本だらけのおうちだったらしく、懐かしいなあ、とも言ってくださいました。とっても知的で穏やかで、イケメンの好青年。うちの娘にどうだろう、とミーハー親ばかの精神が顔をのぞかせます(笑)。

 だって、ご実家がガス屋さんだなんて、うちと一緒じゃん。深いご縁を感じて、また会いましょうね、と強く思ったのでした。彼もまた鹿児島を訪ねてくださるとのこと。長女夫婦と出身大学が一緒、というのもまたご縁だなあ。その大学では、わたしの親友が図書館長をしているし。

 ほんと、カフェをやってよかったなあ。こんな素敵な出会いがいっぱいだよ。

 その好青年に、「他人の荷物は持たない」ことを伝えました。親の課題は、子どもでも解決できない。自分の幸福に集中すること。

 親の自己犠牲は、毒。罪悪感を持つことは、もっと毒。

 さきほど、ラジオ人生相談を聴いていたら、大原けい子先生が、「重たい課題は背負うのではなくて、靴として履いて、一歩一歩踏みしめて、その課題を乗り越える」ことをお話しされていました。

 なるほどお。重たい課題は背負うことなく、靴として履いて、一歩一歩踏みしめるのかあ。新しい学びですね。わたしは背負うんじゃなくて、重たい課題を投げ捨てるように思っていましたが、捨てるんじゃなくて、踏みしめるのかあ。特に親の問題って、背負うと重たいですからね。足元にあるものとして、俯瞰してみるのもいいかもしれません。

 さて、昨日の日曜日は、快晴のわりに、ゆっくりな一日でした。それまでが濃厚な日々だったから、神様が少しは休みなさい、と言ってくださっているかのようでした。

 おかげで、ユタカ君が大事な申請書をパソコンで半日かけて仕上げて提出することができましたし、わたしもまた、これまで料理しすぎてあちこち痛い身体を休めることができました。

 そして今日、月曜日。いつものように、こうしてブログを書いています。

 ここのところ、朝、気持ちよく目が覚めるので、まずお湯を沸かして、紅茶を淹れ、ロッキングチェアに座って、朝の庭を眺めます。

 カフェの仕込みのある日でも、一日の始まりを庭を眺めることから始めたら、まあ、その気持ち良いこと。朝は、こうして瞑想するでもなく、ヨガをするでもなく、時間の流れのままに、外を眺めるだけで、心地よい。

 規則正しい生活の好きなきみちゃんですが、少し、まったりした時間を自分に許したら、まあ、なんというか、規則正しい生活を送ろう、と気負っていたときよりも、さらに凛とした生活ができている気がします。

 ピアノレッスンを思い切って辞めました。というのも、ピアノは努力しないと弾けないから、いつも練習しなきゃ、という焦りがあって、いつも締め切りに追われる感じがあるからです。

 歴代のピアノの先生方には、いつも丁寧に教えていただき、心から感謝していますし、これからまたレッスンを受けるかもしれませんが、いま、ピアノを弾くことを義務にしなくなったら、まあ、心が落ち着きました。

 ピアノが愛おしいことに変わりはないし、ピアノリサイタルを聴く楽しみは増えているし、ピアノを弾く自分を誇りに思っています。

 ただ努力する自分を見せることをやめたら、心が開放された気分になりました。そして、早起きして、規則正しい自分を見せることもやめたら、朝の庭を眺める時間がとても愛おしく、さらに自分が愛おしくなりました。

 朝の時間が、わたしって大好きなんですね。寝起きはあまりよくないほうですが、紅茶を飲みつつ、庭を眺める時間を思うと、しゃきっと起きることができます。孫たちの朝ごはんを張り切って作るときと同じように、充実した時間を過ごせます。

 ユタカ君は寝つきも寝起きもすっきりタイプなので、朝起きたらすぐにお茶を飲み、すぐに朝ごはんの人ですけど、わたしはすぐには食べられない。できれば、朝、ひと仕事して、授業準備なんかも朝のうちにすませて、すっきり感があるところで、朝ごはんを食べたい。

 そのことを話したら、彼は自分でパンを焼いて、自分でさっさと自分のことをはじめます。だから、わたしもヨーグルトだけですませたり。

 朝の仕込みがまた試練の時間。午前9時までにいろんなことを済ませるためには、まあ、大変ですわ。でもね、ここを楽しく乗り切ることが、わたしの課題なんですね。授業準備とカフェの仕込み。

 先日の占いでも、わたしの健康問題は働きすぎが原因とありました。腕が痛いのも、膝と腰に不安があるのも、働きすぎだなあ、とわかっています。

 ま、そのうちにカフェを手伝ってくださる方が現れることでしょう。その日を楽しみに、ここを楽しく乗り切りますね。

 わたしの未来はめちゃめちゃ明るい。

 そうそう、先週の水曜日は、カフェアルカナでのランチのあと、全力投球の「おくのほそ道」の講義をし、それが終わったら、デザイナーの村山さんと、HPの更新についての打ち合わせをして、ユタカ君と3人で、「やきにく元太」で焼肉もりもり食べました。

 「やきにく元太」は、オペラ歌手上村加代子さんのお店。ちょうどその日、加代子さんはわたしの息子のような又吉秀和君たちとオペラの練習とのことで、お店にはおいでではなかったのですが、娘さん、お婿さんたちがとても素敵におもてなししてくださいました。お肉の質が良くて、とっても美味しかった。

 村山さんが久しぶりにわたしたち夫婦と会えて、おしゃべりができて、とっても楽しかった、と言ってくださいました。そして、オンライン講座の案内のところを、もう少しジャンル別に整理してくださいます。

 村山さんの高度なデザインセンスのおかげで、きりしま月の舟のHPの素晴らしいこと。さらに、ヴァージョンアップしますので、ぜひ、ゴールドカード、シルバーカードに登録していただいて、源氏物語、万葉集、古事記、おくのほそ道などをオンラインでも学んでくださいませ。

 明日死ぬことがわかっていても、新しいことを学ぶ。それが月の舟のモットーです。新しい学びを慈しむ方々が続々と集まってきてくださって、本当に嬉しく、楽しい。

 7月3日(日)午後2時から七夕に向けての「折り紙教室」。講師は、藤崎早苗さん。七夕飾りをみんなで作りましょう。

 8月14日(日)は、「蒲原有明シンポジウム」。明治時代の象徴派詩人・蒲原有明の没後70年を記念して、シンポジウムを開催します。島村輝先生(フェリス女学院大学教授)、竹本寛秋先生(鹿児島県立短大准教授)のおふたりをゲストに迎えて、みたけきみこの司会で、日本語の美しさに浸ります。ご期待ください。知る楽しみがいっぱい。奮ってご参加くださいませ。

 9月10日(土)午後5時から十五夜コンサート。月の舟のかぐや姫大集合で、「月」をテーマにした音楽をお届けしますね。めっちゃ楽しみ。

 9月11日(日)は第2回「女神大集合」。素敵なゲストをお迎えして、またまた女神大集合ですよ。皆様も女神ですからね。奮ってご参加くださいね。午後2時からです。

 10月29日「山歩き」、11月26日「ファミリーコンサート」などの予定が次々に入っています。

 いつものように、木曜日が源氏物語、第一金曜日が万葉集。第3金曜日が「みたけきみこの鹿児島学」、土曜日が古事記講座、日曜日の午前10時から女神塾。

 個人レッスンも受け付けますので、ご自分の学びたいもの、学びたい時間をご指定くださいませ。女神塾個人セッション(30分3千円)を、リアルでもzoomでも受け付けます。さっき、思いつきました。どうぞ、みたけきみこを信頼して、わたしのパワーを遠慮なく借りてくださいませ。

 わたしたちはみんな、価値がある。そのことを忘れてはいけません。わたしたちはみんな、人生の主人公。失敗を恐れないで、怖い時ほど挑戦しましょう。

 きりしま月の舟の改修も、着々と建築の神様たちの応援を受けて、進んでいます。窓際にカウンター席ができるので、それを楽しみにされるお客様もあります。カウンター席から庭が綺麗に見えて、また新しい楽しみが増えますよ。ひとりでお越しの客様が存分にひとりに浸りきれるお席になります。

 さ、お昼の時間になりました。ユタカ君が、わたしと一緒にお昼ご飯を食べようと、ブログを書くわたしの周りをうろうろしております(笑)。

 いつも愛をいただくばかりのきみちゃん。もっともっと愛と感謝を振りまきますよ。しっかりと受け取ってくださいね。遠慮しないで、怖がらないで(笑)。  

 では、新しい一週間。素敵に過ごしましょう。皆様を愛しています。